このブログを検索

2021年7月1日

【2021年7月最新版:薬剤師執筆】マレーシアへの医薬品の持ち込みルール

※制限対象の向精神薬のリストに追加がありましたので、細かい文章の修正、リンクの更新と共に2021年7月版として改定いたしました。

先日、マレーシアへの医薬品の持ち込みについてご質問を受けて改めて調べると、2019年1月に旅行者向けの医薬品持ち込みルールに関するまとめが公開されていました。

travellers-guide-bringing-medication-malaysia-personal-use-edited-16012019.pdf

上記持ち込みルールに従うと、


  • 医薬品の持ち込み規定にはビタミン剤やサプリメントも含める
  • 持ち込みは1人当たり1か月分を限度とし、自分用または一緒に旅行している家族の分のみとする
  • 1か月分とは薬袋やパッケージに表示された用法用量に従う
  • Dangerous Drugs Actの別表1(First schedule)にある医薬品(麻薬や一部の向精神薬)は入国時に申告する

    first-schedule-10.01.2019_0.pdf
  • Poison Actの別表3(Third schedule)にある医薬品は有効な英語で書かれた処方箋または医師のレター(薬の名前、用量、持ち込み量がかかれたもの)、もしくはそれが無理なら英語の翻訳を添えたものを持参する

    third-schedule-poisons-list-26.03.2021_0.pdf


しかし、同じドキュメント上に、「通関を速やかに行うために、Poison Actの別表1(First schedule)にある処方薬を持ち込むときは入国時に英語で書かれた処方箋または医師のレター(もしくは日本語のものに翻訳を添えて)を見せる」とあるのですが、この別表1というのが、かなりの広範囲を網羅しているリストで、アセトアミノフェン、ジクロフェナク(ボルタレン)、イブプロフェンなどの解熱鎮痛剤なども含まれています。

poisons-list-1.9.2020_0

こちらに上述の内容との兼ね合いを読み取ると、税関でのやりとりをスムーズにする為の推奨事項と考えてよいとは思いますが、持ち込み量が多い場合などは主治医に処方内容を英文で書いたものを作成してもらった方が良いと思います。

また、「薬は識別を容易にするために、処方されたときの薬袋・ラベルもしくはオリジナルパッケージに入れて手を付けない状態で持参する」とされています。

こちらに関しても、通関のための推奨事項と考えますが、トラブル防止のため、可能な限り薬は薬袋またはオリジナルパッケージでお持ちください。

これらの法律は随時変更される可能性があるため、元となる
Poisons Act 1952 and Regulations | Pharmaceutical Services Programme
Dangerous Drugs Act 1952 and Regulations | Pharmaceutical Services Programme
の最新リンクよりご確認ください。

広告


Dangerous Drugs Actの別表1(First schedule)にある医薬品

⇒到着時に申告が必要

first-schedule-10.01.2019_0.pdfに掲載されている医薬品のうち、日本で使用されており、一般に旅行者が持参する形態のものだけを列記します。

鎮痛剤

オキシコドン(オキシコンチン・オキノーム)
コデイン
ヒドロモルフォン(ナルサス、ナルラピド)
フェンタニル(デュロテップ、イーフェン、アブストラル)
メサドン(メサペイン)
モルヒネ(アンペック、オプソ、MSコンチン、カディアン、パシーフ、モルペス)

睡眠薬・睡眠導入剤・抗不安薬

フルニトラゼパム(サイレース、ロヒプノール)
ニメタゼパム(エミリン)

咳止め(上記と重複あり)

コデイン(各種配合剤あり)
ジヒドロコデイン(市販薬に配合)

胃腸用薬(主に下痢止め、上記と重複あり)

医療用アヘン(アヘンチンキ)
エチルモルヒネ
コデイン
モルヒネ(塩酸モルヒネ)


Poison Actの別表3(Third schedule)にある医薬品

⇒英語で書かれた医師のレター(薬の名前、用量、持ち込み量がかかれたもの)を持参

third-schedule-poisons-list-26.03.2021_0.pdfに掲載されている医薬品のうち、日本で使用されており、一般に旅行者が持参する形態のものだけを列記します。

睡眠薬・睡眠導入剤・抗不安薬

ベンゾジアゼピン系すべて(フルニトラゼパム、ニメタゼパムを除く
→日本の睡眠剤・睡眠導入剤・抗不安剤のほとんどはベンゾジアゼピン系
エチゾラム(デパス)←new
クロチアゼパム(リーゼ)
ゾピクロン(アモバン)
ゾルピデム(マイスリー)
ブロチゾラム(レンドルミン)
バルビツール系すべて

鎮痛剤

ブプレノフフィン(ノルスパン)
ペンタゾシン(ペルタゾン)
ペントバルビタール(ラボナ)

精神・神経科領域(抗てんかん剤、抗うつ剤、ナルコレプシー等)

クロナゼパム(リボトリール)
クロバザム(マイスタン)
フェノバルビタール(アレビアチン、ヒダントール、フェノバール、ベゲタミン)他バルビツール系
ペモリン(ベタナミン)
マジンドール(サノレックス)
メチルフェニデート(リタリン、コンサータ)
モダフィニル(モディオダール)

咳止め(上記と重複あり)

フェノバルビタール(アストモリジン(配合剤))

胃腸用薬(主に下痢止め、上記と重複あり)

フェノバルビタール(トランコロンP)

注射器

注射器類似のものについてもマレーシア税関のHPにおいて、輸入禁止物のリストに計上されているため、混乱を避けるため、自己注射をしている旨の医師の診断書は必要と思われます。

Import/Export:ROYAL MALAYSIAN CUSTOMS DEPARTMENT


POISON LISTに計上されているものについても、本来は処方内容を持参すべきと思います。
こちらについてはあまりにも膨大なため、こちらにはあげません。

元のリストの薬品の類似物(誘導体・異性体・エステル・塩など)はすべて規制対象になるため、リストにない医薬品でもリスト中の薬の類似化合物は規制対象です。

マレーシアの問い合わせ先(英語)
メール:pelesenanbpf@moh.gov.my
電話: +603- 7841 3200/ 3320.


※本内容は法律文書の読み違え、内容の変更等の可能性があるため、最終的にはマレーシア当局の原本を参照ください。

 マレーシア情報ランキング 参加中。
   にほんブログ村 海外生活ブログ マレーシア情報へ
ブログ村 シンガポール情報 はこちらから。
 お隣シンガポールの今がわかります。

   にほんブログ村 海外生活ブログ シンガポール情報へ

8 件のコメント:
ricoyon さんのコメント...

以前いただいた質問への回答:
マレーシアは医師の処方に基づく薬の持ち込みは原則許容されており、違法ではありません。 但し、持ち込みに関してはルールが存在しており、そのルールに従って持ち込むことが求められています。
今年に入って、海外からの薬の持ち込みルールが明文化されました。
そのルールによるとサイレース(フルニトラゼパム)はやはり、最も厳しい管理が求められる薬のリストに入っています。
ルールによると、英語の処方箋(日本の場合、処方箋は薬をもらう以外で発行しないので、医師に処方内容について英語で記載した書類を発行してもらってください。)を入国時(おそらく税関)で見せること。 となっています。
また、薬は必ず病院または調剤薬局の薬袋に入れて旅行に必要分のみお持ちください。

マレーシアは最近の政権交代で様々な管理体制が厳格化してきているように思います。
一方、現場の係官は法令をしっかりと理解している人ばかりとは限らないので、可能であれば、主治医と相談して、旅行期間だけでも服薬するくすりを変更してもらった方が無難なように思います。

Unknown さんのコメント...

すみません、インドからイベルメクチンを輸入したのですが、後で知ったのですが禁止なのでしょうか?
追跡するとNot Delivered Missed delivery CUSTOM NOTIFIED, MY4715
となってます。取りに行って罰せられますか?

ricoyon さんのコメント...

イベルメクチンは線虫や疥癬の治療薬として広く使用されている薬のため、通常時であれば適正量に関しては輸入は問題ないのだと思われます。
最近の状況は把握いたしておりませんので、現在マレーシア当局がどのように扱っているかについては情報を持ち合わせておりません。

なお、ご存じと思いますが、新型コロナウイルスに対するイベルメクチンの効果については依然研究途上であり、その投与量、投与方法についても確固たるものは存在しておりません。
また、薬である以上、適正使用したとしても副作用はありますので、正確な情報を収集の上、使用をご検討ください。
マレーシア国内でも自己使用による副作用の事例などが挙がっているようです。
[Ivermectin: Malaysia health officials report two cases of poisoning \- Outbreak News Today](http://outbreaknewstoday.com/ivermectin-malaysia-health-officials-report-two-cases-of-poisoning-62342/)

余談ですが、個人輸入の医薬品は偽物、粗悪品などが多数存在しています。
不純物や悪意ある成分による健康被害にも十分ご注意ください。

匿名 さんのコメント...

以前サイレースの件でご質問したものです
コロナ禍で随分マレーシアに行くのが遅れました
その間幾つもの薬が開発されましたが、デエビゴ(レンボレキサント)にはマレーシアで規制がありますでしょうか?何卒ご教授いただきたく思います。

ricoyon さんのコメント...

匿名さん
デエビゴは日本の会社が開発した新薬で、マレーシアではまだ認可されていない薬です。(未確定)

日本では向精神薬とされていない薬ですが、アメリカでは一般的な睡眠導入剤と同じカテゴリーに入っています。
当局に確認いただいた方が良いと思います。


マレーシアは旅行で行かれるのでしょうか?
旅行でしたら、必要日数分のみをご持参ください(申請が必要であればした上で)。

留学、駐在等、長期にわたってマレーシアに滞在されるのであれば、こちらの薬は現地で入手困難と思われますので、現在の主治医に処方内容を変更してもらった方が良いと思います。

匿名 さんのコメント...

ありがとうございます。旅行で参りますので、ご指示のままにしようと思います

匿名 さんのコメント...

今度マレーシアに10ヶ月留学を考えていて、その際にビタミン剤180日分と、アトピー性皮膚炎用の塗り薬を二種類持っていきたいのですが、こちらにはこれに関する記述はありますでしょうか。
それと、ジャンプーやシェービングジェルも持っていきたいのですが、こちらはどうでしょうか?

ricoyon さんのコメント...

匿名さん

本文に記載の通り、すべての医薬品、サプリメントも持ち込みは1か月分までとなります。
塗り薬も使用量によると思いますが、常識的に考えて1か月分程度となります。
(ご自身が1か月で使われている量です)

マレーシアでも一般的なビタミン剤はサプリメントとして、薬局等で購入可能ですので、ご持参は1か月分として、それ以降は現地でご購入ください。

また、アトピーの塗り薬はどのようなものをお使いでしょうか?
マレーシアの薬局でも日本で使用されているような薬が処方薬として販売されています。(薬局の店頭の陳列に無くても、奥の処方コーナーで薬名を言うと購入可能なものも多くあります)

シャンプーなどは特別な規制は無いと思いますが、大量に同じものを持ち込まれると、販売目的と誤解される可能性もありますので、ご持参は最小限にとどめ、現地で合うものを探す方が良いのではないかと思います(アトピーもおありだと新しいものにチャレンジするのは大変だと思いますが、スムーズな入国と持ち込み荷物はトレードオフとなるとご理解ください)。

関連記事と時々広告&他所のブログ