このブログを検索

腸チフスの原因と対策

2015年10月、新聞等によると、KLでは腸チフスの発生が問題になっているようです。

継続的な腸チフスのり患状況が公表されていない(私が見つけられないだけかもしれませんが)ので、今回が稀な流行の兆しや食中毒のような集団感染なのかどうか判断しかねるところですが、
対策をするに越したことはありません。

ウィキペディアに詳しく書かれているので、ここでは詳細は割愛しますが、腸チフスの原因菌はサルモネラ菌と同類に分類される菌で、主に飲食物を介して人から人へ感染します。
排泄物や血液が飲食物へ付着(または直接他者に接触)し、それを口から摂取することで感染が成立します。

今回はマレーシアの中でも、クアラルンプール(KL)は衛生環境が整った地域であり、マレーシア人の間でも、そのKLで感染者が続出したことに衝撃を感じているようで、ニュースや新聞でも継続的に取り上げられています。

広告


菌の感染力

  • 通常の食中毒の原因となるサルモネラ菌と比べて少ない菌数でも感染が成立してしまうため、小児や免疫力の低い方、無胃酸症(胃酸で菌を失活できないため)の方などは注意が必要です。

予防

・ワクチン

  • 日本では認可されていませんが、予防のためのワクチンが存在しています。
    (日本でも一部の海外旅行クリニックで行っているところがあります)
  • マレーシアでも多くの病院でワクチン接種が行えます。
  • ワクチンには経口と注射があり、それぞれメリットデメリットがあります。
    *飲み薬:弱毒化した生菌製剤で1日おきに4回服用。小さい子供、妊婦、免疫不全の方は使えません。
    *注射:不活化ワクチンで1回で済むので特段の理由がある場合を除いては、注射の方が合理的と言えます。少ないながら、発熱、頭痛といった副反応があります。
  • 抗体がつくまで2週間程度かかるので、すでに流行している場合は接種後しばらくは生活上感染予防をしっかりやる必要があります。

・日常生活

  • 水道水は塩素消毒されていれば問題ありません。
  • 加熱調理で菌は死滅するため、調理後すぐの飲食であれば、感染の危険は低いと言えます。
  • 消毒はアルコール、ハイターなどが有効で、入手しやすい。
  • 手洗いで表面の菌は洗い流せますが、水がない時のために、手指消毒用のアルコール製剤を常に持ち歩くと安心。
  • 空気感染ではないので、マスクは不要ですが、汚染物を触った手を口元にもっていかないためには有効です。

   ※腸チフス菌は低温、乾燥に強いので、保菌者や感染者が不潔な状態で触ったものに長期に付着している可能性があることを認識する必要があります。

   ※マレーシアで販売されている手指消毒剤はこちら☟
         Dettol instant hand sanitizer 酒精搓手液
    普通にスーパーやドラッグストアで売られています。



    ※ジョホールで販売されている消毒用アルコールは主にこちらの変性メタノール製剤☟
     メタノール製剤ですので、念のため塗布後しっかり揮発させてから使用すること




治療・予後

  •  一般的に流通している抗菌剤(ニューキノロン系:日本ではクラビット(レボフロキサシン)やシプロキサン(シプロフロキサシン)がメジャー)で十分治療が可能。
  • 高熱が特徴的で、マレーシアではデング熱との鑑別が重要。
  • 家庭内での二次感染を防ぐため、患者・家族とも手洗い、手指消毒を行う。 
  • 2~3%で重篤化し腸穿孔(腸に穴が開く)が発生すると言われている。→国立感染症研究所 
  • 症状が治まってもしばらくは菌が体内に残留するため、医師の指示通り、抗菌剤を最後までのみきること(その抗菌剤が効かない耐性菌を生み出さないためにも抗菌剤や抗生物質は必要な日数しっかり飲む必要があります)。

その他

  • 潜伏期間が長いため(~3週間)、マレーシアで感染後、日本で発症する症例も過去に発生しています。帰国後、発症した場合は海外渡航歴も含めて、医師に伝達することが重要。
  • 症状が出ない保菌者もいるため、職場ローカルスタッフやお手伝いさんなどを雇っている場合などは、普段から手洗いを励行するよう指導し、皆で感染を予防する雰囲気づくりが重要。 
マレーシア政府も言っていますが、腸チフスは治療法が確立されているので、決して恐ろしい病気ではありません。
日本でも入院措置が必要な二類感染症から、特定職種への就業制限にとどまる三類感染症に引き下げられています。
むやみに恐れず、賢く感染を防ぎたいものです。
 マレーシア情報ランキング 参加中。
   にほんブログ村 海外生活ブログ マレーシア情報へ
ブログ村 シンガポール情報 はこちらから。
 お隣シンガポールの今がわかります。

   にほんブログ村 海外生活ブログ シンガポール情報へ
0 件のコメント:

関連記事と時々広告&他所のブログ